人は旅に出ると、突然“向学心”がムクムクと沸き起こる。
これは宿をやっている人の間では“定説中の定説”である(と思う)。
E0 = mc2 くらい有名である(んじゃないかな~)。
こんな山の中に住んでいると、まわりは木や草花だらけ。すると、お客さんの中には、「あの木はなんですか?」「この花はなんて名前?」ってヒジョーに無邪気な感じで聞いてくるんですね。
こちとらもう40(歳)を目前にしたおっさんですよ。それも独身ですよ。それも血統証付かっつーくらいのまごうことなき独身のおっさんですよ(もちろん付いてません、血統証・・・)。
もしね、「あ~あの花は○○って言う名前でね、××科に属していてね、花言葉は・・・」なんて立て板に水で40男(独身・血統証無し)がしゃべったら、フツーちょっと気味悪くない?
これが植物学の教授だとかね、フラワーアートやってる人とかね、あーなるほどねって言うような人なら分かりますよね。
でもね、おっさん(血統証無し)ですよ。花とかね、もうほとんど縁がなさそうな。
例えばアイドルグループのKAT-TUNの写真を見せて「このグループの名前は何でしょう?」って聞くとしたら、やっぱり原宿とか、渋谷とか歩いてるような若い女の子あたりに聞くのが常道と言うものでしょう。
巣鴨とかね、新橋とかでは聞かんでしょう。新橋のサラリーマンのお父さんに聞きます?
そんなことした日にはお父さんも困っちゃうでしょ、やっぱり。
「答えはKAT-TUNて書いてカツーンて言うんですよ」って答えを教えても、「えっ、カツーン、、、そういえばガキの頃そんな名前のアニメやってたよな。えーと、なんつったかな、そうだっ!確か、新造人間なんとかっつーような・・・」
お父さん、お父さんそれキャシャーンですからっ!ちょっと似てるようだけど違いますからっ!
って、あらぬことになっちゃいますから。
でね、私知りたいんですが、そういう質問してくるお客さん、普段そんなに花の名前とか気にしてます?ってことなんです。
おそらく普段はそんなに気にしてないんじゃ・・・。
と言うことで、お客さんに聞かれた時に、「まっ、ここはひとつテキトーに答えとけ」ってその場しのぎで「その花は○○じゃないですかね~」なんて答えると、「いや、○○じゃないよ、絶対。○○なら知ってるもん。」なんて返されたりね。
「絶対って、あ・な・た・・・よりによって、知ってる花を言っちゃったんですか・・・わ・た・し・・・」
「だから、おっさん(血統証無し)だっちゅーの」←心の声・・・声と言うか、むしろ叫び。叫びっていうより、むしろムンク。
で、今まで生きてきた中で蓄えられてきた僅かな知識が入っている頭の中から、花の名前を検索―
バラ、チューリップ、ひまわり、ひまわり、ひまわり、え~と、ひまわり・・・りんご、、、って、あまりの動揺にいつしか、しりとりになってしまう。
もうムンクを通り越してガッツ石松ですよ。OK牧場ですよ。OK牧場ちゅーより、KO牧場ですよ、状況的には。
もし、あなたが旅に出た時。そして普段、あまり気にならないのに旅先で花や草木の名前が無性に知りたくなった時、この話を思い出して下さい。
そして、たまたま近くにいる宿の人に聞く前にあたりをよく見回して下さい。ひょっとしたら、聞くべき適当な人が他にいるかもしれません・・・。
追伸:ちなみにアニメや特撮ヒーローのことなら私に聞いてください。
本文中の「新造人間キャシャーン」ですが、かなり多くの方が
「人造人間」と間違って覚えてます。正しくは“新造人間”です。